アノコロカラコノゴロ二イタル。

昭和の終わりから、平成を駆け抜けて、令和に辿り着いた。

1985年12月 その本は『ドルアーガの塔外伝』! --その日、僕はゲームブックに出会った。

1985年12月某日 9歳(小学校3年生)

Books

 

すごい本を見つけた!

その本は『ドルアーガの塔外伝』!

 

今日、父さんと本屋に行った。

父さんが本屋に行くのについて行くと、僕にも一冊、本を買ってくれる。

いつも「またマンガか」とか「しょうもない本だ」とか、僕が選ぶ本にケチをつけてくるけど、とにかく買ってはくれる。

 

今日、買ってもらった本が『ドルアーガの塔外伝』というゲームブック

この本はマンガとは違う。

大人が読む小説みたいに字ばっかりの本(少し絵もある)。

 

「外伝」の意味が分からなかったので、父さんに聞いたら、

「別の話とか他の話だ」と教えてくれた。

 

本の中で、ノヴァ(ギルの弟)になって、「戦う」とか「逃げる」とかを選んだり、武器や道具を探しながら、「城塞戦車ドルアガノン」の中の迷路を冒険する。

 

最初は字ばっかりの本で、ちゃんと読めるかな?と思っていたけど、ちゃんと読めた。

でも、まだ最後まで読めていない。途中で出てくるハイパーナイトにやられてしまったからだ。

 

冒険記録紙を消しゴムで消して、バトルポイント表を書き直して、もう1回、最初からやってみたら、今度はハイパーナイトに行く前に、ミラーナイトに負けてしまった。

 

どうしても勝てないので、バトルポイント表をズルして、ハイパーナイトに勝ったことにしようかと思ったけど、やっぱりズルはダメなことなのでやめた。もう1回、最初からやってみようと思う。

 

本の最後の方には、背中に塔のある怪獣「ドルアガドン」や、頭が塔になっている「ドルナイト」が載っていた。この本の続きが出るので、それまでには最後まで読んで、また買ってもらおう。

 

 
◆現在◆

 

以上が僕とゲームブックの出会いです。

 

ちなみに、その翌日に僕はバトルポイント表をズルして、ハイパーナイトを倒しエピローグに辿り着きました。

 

バトルポイント表というのは、サイコロの代わりに、A〜Iくらいの枠にあらかじめ数字を設定しておいて、作中の指示で「あなたの攻撃力+バトルポイント表のFは、敵の攻撃力7より大きいか?」みたいな感じで、戦闘などの処理を行う疑似的な乱数要素です。

 

それと「ドルアガドン」や「ドルナイト」での冒険を描いた続編は、現時点でまだ発表されておりません。

 

この時期、『火吹き山の魔法使い』(社会思想社)の発売が1年前、『ソーサリー』(東京創元社)も半年前に発売されており、既にゲームブックは静かにブームになりつつあった感じでしょうか?

 

とは言え、当時、小学校3年生の僕が書店に行ったとしても、足を向けるのは漫画とファミコンゲーム攻略本の棚くらいでしたから、そういう本を目にすることは有りませんでした。おそらく、一般の小説、それも翻訳ものの海外小説のコーナーに並んでいたのではないかと思います。

 

一方で本書『ドルアーガの塔外伝』を含む勁文社の「アドベンチャーヒーローブックス」、あるいは双葉社の「ファミコン冒険ゲームブック」は、僕が通っていた近所の書店では攻略本の棚に並んでいることが多く、本書もそこで見つけたと記憶しています。

 

余談ですが、当時、僕の周りのゲームブック愛読者(と言っても、同級生数人ですが)は二派に別れている雰囲気があり、社会思想社東京創元社のシリーズのファンは、勁文社双葉社のシリーズのファンをやや下に見ている感じが有りました。

 

確かに内容的に現在も高い評価を得ているのは前者でしょう。

ドルアーガの塔』のゲームブックと言われると、多くのゲームブックファンが思い浮かべるのも、東京創元社の『ドルアーガの塔』三部作(鈴木直人・著)でしょう。僕もやりましたが確かに傑作です(また、この作品についても改めて書くと思います)。

 

ただ、社会思想社東京創元社から刊行されているゲームブックは当時の僕からすると、翻訳ものが多くて、装丁から何から、どうにも大人向けに見えて、敷居の高さを感じていました。あと表紙もちょっと怖かった。なので、小学生の僕は主に勁文社双葉社のシリーズを読んでいました。

 

ドルアーガの塔外伝』で始まった僕のゲームブックライフは、そこから加速していきます。『機動戦士ガンダム 灼熱の追撃』『ブラッドソード』『聖戦士ダンバイン 妖魔城塞ザーウェル』『ウィザードリィ 魔術師ワードナの野望』『ファミリースタジアム ナムコスターズの挑戦』『モンスターの逆襲』など、偏りは有りますがいろいろやりました。この辺の作品については、また改めて紹介することも有るかと思います。

 

ドルアーガの塔外伝』を読む以前、本と言ったら漫画くらいしか読んでいなかったことは前半の日記部分でも触れていますが、ゲームブックが僕にとって「字だけの本」を読むきっかけになりました。

 

ゲームブックを入り口にして、小説など、「字だけの本」も読むようになり、今でも読書が僕の娯楽の中で大きなウェイトを占めていることを考えると、とんでもなく大きな出会いです。

 

その後、ゲームブックは一時のブームを過ぎると、平成に入る頃には、みるみる書店から姿を消していきました。

 

少しだけ令和元年のゲームブック事情を紹介しておきます。

書店そのものが当時と比べると大きく減ったわけですが、Amazonで検索してみると結構な数の新作ゲームブックがヒットします。

 

現在でもゲームブックはそれなりに出版されています。リアル脱出ゲームのSCRAPの新作シリーズや、創土社などから過去作の復刊も出ています(最近は止まってますが……)。

 

また、活況と言って良いのはキンドルでしょう。

幻想迷宮書店がリードする形で、現在でも新作がコンスタントに発表されています。

 

もし、これまでゲームブックに触れたことがなくて、この記事を読んで興味を持った方がいるなら。まずは幻想迷宮書店の『護国記』(波刀風賢・著)をオススメします。キンドルで読むことを前提として作られたシステムと、ファンタジー小説としても一級の物語。ただのゲームブック懐古に留まらず、現代のエンターテイメントとして完成度の高い作品です。 

 

なんとなく、まとまりのない感じになってきたので、今回はこの辺で。

 

 

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

ドルアーガの塔 外伝 (アドベンチャーヒーローブックス)

ドルアーガの塔 外伝 (アドベンチャーヒーローブックス)